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「悪魔を見た」★★★★★★★★★★
2010・韓国 144分 英題:I Saw The Devil 監督:キム・ジウン 撮影:イ・モゲ 美術:チョ・ファソン 照明:オ・サンチョル 音楽:モグ 出演:イ・ビョンホン、チェ・ミンシク、オ・サナ、チョン・グックァン、チョン・ホジン 【ストーリー】 ある雪の降る夜、人気のない道で突然車がパンクし、レッカー車の到着を待っていた若い女性が連れ去られる事件が発生する。地元警察は大規模な捜索を開始するが、その女性はまもなく川底から変わり果てた姿で発見される。この被害者の女性は、引退した刑事チャンの娘ジュヨンだった。ジュヨンの婚約者であり、国家情報院捜査官のスヒョンは、彼女が事件に巻き込まれる直前まで携帯で会話をしていた。彼女を救えなかったふがいなさを呪うスヒョン。警察の捜査が滞る中、彼は自力で犯人を追い詰めようと決心するのだが・・・。 (予告編)http://www.youtube.com/watch?v=daHasxjDmhU&feature=related 【ネタバレ注※】 ここまでくれば怪物映画じゃないよ、怪獣映画やこんなん! 平日の朝一で新宿ミラノ座で観た。こんな時間帯にしてはなかなかの賑わい。朝っぱらから悪魔を見にきた悪魔たちが溢れていた。恐ろしい世の中や。中にはどう見ても天使にしか見えない若いOLやおばさんやお年寄りの方たちもいた。ほんと、イ・ビョンホン目当てとかならすぐ帰って!ここは悪魔しか来たらダメな場所なんやで!と心の中で思いつつも、仕方なく彼らが実は極悪非道の限りを尽くす悪の化身であると思うことにしてとりあえず落ち着いた。 映画が始まると、オープニングからショッキングな人体解体シーンが展開される。最近観た、『冷たい熱帯魚』で多少免疫がついてるつもりだったけど、やっぱり目を背けたくなる。 殺人鬼ギョンチョルを演じるのは『オールド・ボーイ』でお馴染みのチェ・ミンシク。でんでんとはまた違った狂気で心を鷲掴みにされる。まさにこの映画の"悪魔"である。 そして、もうひとりの"悪魔"が、イ・ビョンホン演じる捜査官のスヒョンだ。映画は婚約者をギョンチョルに殺されたスヒョンの復讐劇なのだが、この映画ちょっと異常なのだ。 ギョンチョルのねぐらを突き止めたスヒョンは、ついに彼と対峙することになる。この場面で観客は「あれ?」っと思うはず。なんといとも簡単にスヒョンはギョンチョルを捕らえてしまう。しかし、いざトドメをしようとしたその瞬間、スヒョンはその手を止める。悪の深淵を覗き込むのだ。 そして彼はギョンチョルを逃がす。また痛めつけては逃がす。また痛めつけては逃がす。それを繰り返していくことになる。 暗くて陰気な映画かと思いきや、そこから怒涛のようなアクションシーンが展開していく。イ・ビョンホンがめちゃくちゃ強くてかっこいい!あの軽やかな身のこなしはヒーローのようでもあり、時に爽快で、時に凄惨。 何度痛めつけられても不死身の肉体で復活しては凶行を繰り返すチェ・ミンシクの背筋も凍る鬼畜怪物ぶりは、卑俗でいて滑稽でもある。もはや怪物というか、怪獣やんけ! この2人のぶつかり合いがおもしろくないわけがない!目には目を!歯には歯を!アキレス腱にはアキレス腱を!の陰惨な復讐劇ではあるのだけれど、もの凄くエンターテインメント要素の溢れるアクション演出で観る者の心を掴んで、いや、ねじ伏せてでも離さない。怖いもの見たさの心理をビシバシと突いてくる。 途中からは第三、第四の怪獣も現れて、もう無茶苦茶! 内容や公開時期が重なったのもあって、『冷たい熱帯魚』とよく比較されるが、僕は『悪魔を見た』を推したい。 とにかくハチャメチャでぶっ飛んでて強引でバカで残酷な映画だけど、めちゃくちゃ凄かった。韓国映画界、一体どうなってんだ?!韓流ブームのゆとり教育で育ったおばさま達には絶対お勧めできない! あまりの凄さに場内が明るくなってもまだドキドキしていた。まるで自分の中の悪魔を覗いたような感覚もあり、ふと我にかえった瞬間、また別の恐怖が押し寄せてくる。 この映画の悪魔は見終わった後も狂気の世界から解放してはくれない。深淵を覗きこんだ代償はあまりにも大きいのだ。 劇場を後にしていく観客たちは皆疲れ切った顔。韓流ブームのノリで観に来た風のおばさま達も居て、もの凄く不憫になったのだが、偶然その人たちの会話が聞こえてきた… 「残酷で目を背けたくなるんだけど、でもそれも通り越して笑えてきちゃうのよね~」 「そうそう、人間って怖いわぁ~」 僕は平日朝のミラノ座で、悪魔を見た。 #
by mimitats7
| 2011-03-10 19:31
| CINEMA
「ヒアアフター」 ★★★★★★★★★☆
2010・アメリカ 129分 原題:Hereafter 監督:クリント・イーストウッド 製作総指揮:スティーヴン・スピルバーグ、ティム・ムーア、ピーター・モーガン、フランク・マーシャル 製作:ロバート・ローレンツ、キャスリーン・ケネディ、クリント・イーストウッド 脚本:ピーター・モーガン 音楽:クリント・イーストウッド 撮影:トム・スターン 出演:マット・デイモン、セシル・ドゥ・フランス、ジェイ・モーア、ブライス・ダラス・ハワード、フランキー・マクラレン、ジョージ・マクラレン、デレク・ジャコビ 配給:ワーナー・ブラザーズ 【ストーリー】 フランスの女性ジャーナリスト、マリーは、津波にのまれた時に臨死体験を経験する。その時に見た不思議な光景を忘れることができず、以前は仕事一筋だった彼女も、今や全く仕事に手がつかないような状態になってしまう。そんな時、イギリスに住む少年マーカスは、双子の兄を亡くしてしまった悲しみから立ち直れず、兄ともう一度会うためにアメリカの霊能力者であるジョージのもとを訪ねようと試みはじめる。霊能力者ジョージは、自らの力を嫌い、現在は霊能力の仕事を辞め、その才能を遠ざけて生きようとしていた。 そんな、それぞれの"死"にとりつかれた3人は、果たしてどこに辿り着くのだろうか・・・。 (予告編)http://www.youtube.com/watch?v=XoLTOSJmy0s 【ネタバレ注※】 イーストウッド監督80歳の想い この映画は実に奇妙だ。冒頭の、今となってはとても映画の中の世界とは思えないほどにリアルな大津波のシーンに始まり、あとはずっと何も起こらないのだ。起承転結の「承」が延々と展開し、そして「転」を迎えるまさにその時に映画は終わる。 しかし、退屈な印象は受けなかった。何と言うか、イーストウッドが暖炉の前の揺り椅子に腰掛けながら、あの独特の低くてゆったりとした口調で語る物語を聞いているような感覚になった。イーストウッドらしくなく、とてもイーストウッド"らしい"映画のように感じた。 津波によって"死"の世界を感じるようになった女性ジャーナリスト、双子の兄の"死"を受け入れられずもう一度会いたいと願う少年、他人の"死"を覗き見る能力を持った男性、それぞれ"死"と強く結び付いている人たちの話なのだが、僕が捉えたイーストウッドのメッセージはとても"生"に満ちたものだった。 この映画は"メメント・モリ"(死を想え)という話なのではないだろうか。"死を想え"というのは裏に"死を想い、今を強く生きろ"という意味が込められている。 ラストで双子の弟のマーカスは、霊能力者のジョージに兄の声を聞いてくれるよう頼む。そして、ジョージを通して語りかける兄は「その帽子は僕のだ。もう被るな。」とマーカスに言う。マーカスは兄が大事にしていた帽子を兄の代わりとして肌身離さず持ち歩いていたのだ。 「そこに僕はいないんだよ。」ここで初めてマーカスは"死"を受け入れる。マーカスの表情は、それまでの彼の表情とは比べものにならないほど生気に満ち溢れている。 そしてジョージもまた、ジャーナリストのマリーと握手を交わした瞬間、とりつかれていた"死"のビジョンから解放され、初めて"生"のビジョンを目撃するのだ。 「Hereafter」という語の意味には「今から」「これから」という意味も含まれているらしい。 この映画は死後の世界を描いた映画ではなく、死後の世界を見つめることで、"これから"を強く生きるという映画なのである。 死を見つめながら淡々と展開する話の中にも、全然物語と関係なく妙にエロい料理教室でのやりとりがあったりして、イーストウッド監督、まだまだスキモノですな!とほっこりさせられるのも良かった。 ついでに言うと、あの料理教室で出会う女性役のブライス・ダラス・ハワードってあんなにかわいかったっけ?!『レディ・イン・ザ・ウォーター』の時は、「美しい少女だ・・・」とか言われてて、どこがや!!と思ってしまったけれど、この映画ではめちゃくちゃにかわいい。うーん、イーストウッド監督、80歳にして全く抜かりありません!プレイボーイ健在ですね。 残念ながらこの作品、東日本大震災の後は上映自粛、実質中止に追い込まれてしまった。「今こそ観るべきなのに!」などと言うつもりもないけれど、冷たい色づかいの背景とは裏腹に最後には心にぽっと暖かい火が灯るような映画なだけに、残念です。 最後に、ワーナー・ブラザース・ホーム・エンターテイメント・グループが、本作のDVDの収益の一部(100万ドル程になる見込み)を東日本大地震で被災した人々のための義援金として寄付すると発表していることを伝えておきたい。 #
by mimitats7
| 2011-03-10 19:19
| CINEMA
「洋菓子店コアンドル」 ★★★★★★★★☆☆
2010・日本 115分 監督:深川栄洋 脚本:深川栄洋、前田浩子、いながききよたか 撮影:安田光 音楽:平井真美子 主題歌:ももちひろこ 出演:江口洋介、蒼井優、江口のりこ、尾上寛之、粟田麗、ネイサン・バーグ、加賀まりこ、戸田恵子 配給アスミックエース・エンタテインメント 【ストーリー】 鹿児島から上京して来たなつめは、恋人が働いている洋菓子店“パティスリー・コアンドル”を訪ねる。しかし、恋人はその店を既に辞めており居場所が分からなくなっていた。行く宛のないなつめは、コアンドルで泊り込みで働きながら、恋人を探すことを決意する。シェフの依子は渋々なつめを雇ったものの、手際の悪い上に反抗的ななつめの性格に頭をなやませていた。そんなある日、店にやって来たスイーツ評論家の十村に、なつめのケーキを評価してもらう機会が訪れた。しかし、彼女の作ったケーキは、酷評どころか「0点」とまで言われてしまう。恋人を探すまでのつなぎのバイトだったケーキ作りだが、その日からなつめの心境に変化が表れ始める・・・。 【ネタバレ注※】 僕が8点をつけた理由 なんだか凡庸な作品に見えてしまいそうな点でこの作品はすごく不利だ。でも多くのメジャー作品と比べてみても、作り手の”熱意”を感じる数少ない作品だと言っても過言ではない。 脚本がとても丁寧に作られていて、登場人物のキャラクターがとにかく魅力的。それらを演じる俳優のキャスティングも絶妙。 蒼井優演じる主人公なつめの、あの憎めない憎たらしさに、周囲のキャラクター同様グイグイ惹き込まれていった。個人的にブチ切れ演技と言ったら満島ひかり!なのだが、蒼井優のキレ演技は全く正反対ではあっても、満島ひかり同様に何とも言えない愛着を感じてしまう。「キーッ」と耳を刺すような高周波のがなり声も不思議な中毒性があって、観終わる頃には完全なるジャンキーになってしまっていた。その点も満島ひかりと被るところがある。個人的な願望だけど、いつか2人のがなり合いをスクリーンで観ることができたらどんなに幸せか。過剰摂取で完全にトんでしまう危険も持ち合わせているけど! そんな田舎から出てきた自己中女なつめと共に成長していく2時間は、涙と笑いに溢れる至福の時、としか言いようがない! 脚本で僕が特に感動したのは、なつめと終始対立している従業員マリコとの決着のつけ方。 いや、実は決着がついていない。いつもケンカしてばかりいる2人は、コアンドルのピンチの時でさえも言い合いばかりしている。普通のメジャー映画だと、結局最後は協力し合って「お前なかなかやるじゃん」「あんたもね」って具合に仲直りするのがお決まりだが、この映画はそうならない。完全な和解はせずに物語は終わる。 でも、これには、どんなに嫌いで気が合わない奴とでも共に生きていかなければならないこともあるんだ、という大切なメッセージが含まれている。 こういう所に真剣に向き合っている姿勢が僕が特に良いと感じた点だ。 ここまでクリアーしていれば普通以上の作品と言ってもいいぐらいなのだが、この作品は更にグッと心を掴まれるシーンがいくつかある。 まず、江口洋介演じる十村の過去の悲劇の見せ方。長い歩道を歩く十村に事故の悲劇がフラッシュバックしてくる。そして、だんだん十村の感情の高ぶりに合わせて歩調は速まり、やがて走り出し、今にも感情がガラガラと崩れてしまいそうなところでバスに乗り込んで息を整える。というシーン。あの部分の緊迫感の演出には、思わず体が硬直した。 十村のシーンで言うと、家から出て行く妻と子の回想シーンの入れ込み方もすごくうまい。一回ベッドで寝ている彼の方から妻と子を見せておいて、別のシーンで2人の幻想が見える、というところの運び方のスムーズさなんかは、よく見るシーンではあるものの、丁寧でとても好感がもてた。 そして、ラストのワンカット長回しには脱帽。あの大胆でいて的確な構図は、本当に見事だった。 洋菓子店コアンドルは、子供から大人への成長の物語だけでなく、人付き合いの難しさが描かれていたり、自分が生きる意味について考えさせられたり、乗り越えなければならない壁に立ち向かっていく勇気を与えてくれたりする。 邦画のおしゃれ映画だと思ってハードル下がってたからだろう、とか思われたくないので、思い切って8点つけました。いや、ほんとに良いから。 「泣ける、泣ける」ってやたらうるさく宣伝やってるけど、本気で泣きたいなら、どのメジャー作品よりもこの映画を観るべきだ! #
by mimitats7
| 2011-03-01 00:56
| CINEMA
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