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「RED」 ★★★★★☆☆☆☆☆
![]() 2010・アメリカ 111分 原題:Red 監督:ロベルト・シュヴェンケ 製作:ロレンツォ・ディ・ボナヴェンチュラ、マーク・ヴァーラディアン 原作:ウォーレン・エリス、カリー・ハムナー 脚本:ジョン・ホーバー、エリック・ホーバー 音楽:クリストフ・ベック 撮影:フロリアン・バルハウス 出演:ブルース・ウィリス、モーガン・フリーマン、ジョン・マルコヴィッチ、ヘレン・ミレン、リチャード・ドレイファス、アーネスト・ボーグナイン 配給:サミット・エンターテインメント(米)、ウォルト・ディズニー・スタジオ(日) 【ストーリー】 かつてCIAの腕利きスパイだったフランクは、引退後はひっそりと穏やかな日々を送っていたのだが、ある日突然何者かの襲撃を受ける。調べていくうちに、CIAが関わっていると突き止めたフランクは、かつての仲間たちに協力を仰ぐ。そして、彼のもとに引退した超一流のスパイたちが続々と集まっていくのだった・・・。 【ネタバレ注※】 おっさんになったって、群れるのはやめられないぜ! 色んなところで、おじさん版『エクスペンダブルズ』と言われているこの作品。主要メンバーを改めて並べてみると、 ブルース・ウィリス、 モーガン・フリーマン、 ジョン・マルコヴィッチ、 ヘレン・ミレン、 リチャード・ドレイファス、 アーネスト・ボーグナイン、と本当に豪華! ただ、80‐90年代アクション育ちの僕からすると、『エクスペンダブルズ』の方がど真ん中ストライクだったなぁ。 この中で言うと、ブルース・ウィリスが唯一、子供の頃から馴染みがある俳優。というわけで、正直言って個人的には熱はそれほど上がりきらず。 ただ、いい歳こいたおっさん達が楽しそうに銃バンバンやって、その姿は思い入れがあろうが無かろうが、自然とこちらも楽しくなってくる。 ジョン・マルコヴィッチは狂った感じの役がほんとにハマるなぁ。アーネスト・ボーグナインには『ワイルド・バンチ』とか『北国の帝王』オマージュやってもらいたかったけど、あの目ヂカラは健在!ギョロ! 内容もキャラクターも頭が全部カラッポな作品なので、とにかく何も考えずに観ること!役者に思い入れのある人たちなら絶対におもしろいエンターテインメント作であることも確か。 ひとつ言うなら、モーガン・フリーマンの死に方はあれで良かったのか。雑過ぎやない?
「ザ・タウン」 ★★★★★★★★★☆
![]() 2010・アメリカ 124分 原題:The Town 監督:ベン・アフレック 製作:グレアム・キング、ベイジル・イヴァニク 脚本:ベン・アフレック、ピーター・クレイグ、アーロン・ストッカード 音楽:ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ、デヴィッド・バックリー 撮影:ロバート・エルスウィット 出演:ベン・アフレック、ジョン・ハム、レベッカ・ホール、ジェレミー・レナー、ブレイク・ライヴリー、クリス・クーパー、ピート・ポスルスウェイト 配給:ワーナー・ブラザーズ 【ストーリー】 年間300件以上の銀行強盗事件が起こるボストン。ダグはそこで幼馴染たちと共に結成した銀行強盗団のリーダーをしていた。義理と人情のある彼は、仲間からもとても信頼されていた。しかし、ダグ達がある銀行を襲撃した時のことだった。ダグはその銀行に勤める支店長クレアに惚れてしまう。仲間に内緒で彼女と密会するダグは、次第に堅気になりたいと願い始める。しかし、FBIのアダムの手はすぐそこにまで迫っているのだった・・・。 【ネタバレ注※】 ベン・アフレックの地元愛溢れるメッセージ。 役者としてのベン・アフレックは嫌いだった。チャラチャラした感じの二枚目顔で、『アルマゲドン』とか『パール・ハーバー』とかの嫌~なメジャー映画でチヤホヤされて、その上ジェニファー・ロペスと婚約までして、「ふざけんな!」と個人的に思っていたのですが、そのジェニロペと作ったノロケ映画『ジーリ』で大コケ。そのままハリウッドから失脚していった時は、心の中でガッツポーズしていた。 そんな彼が再びハリウッドに監督として帰って来た。弟のケイシ―を主役に据えた『ゴーン・ベイビー・ゴーン』。これがめちゃくちゃおもしろかったのだ。 それから僕の中でのベン・アフレックの評価は急上昇!元々、僕の大好きな映画『グッド・ウィル・ハンティング』の脚本もマット・デイモンと手がけていて、しかもいきなりアカデミー脚本賞を受賞している、天才ではあった。 そして、続く監督第二作目がこの『ザ・タウン』。「これが本当に二作目?!」と思ってしまうほど完成度が高い作品だった。 ストーリーは正直言ってほとんどマイケル・マンの傑作『ヒート』そのまま。愛する者のために堅気になりたいと願う男と、そこに立ちはだかる障害との葛藤の物語。”人殺しはしない”という強盗団のモットーも『ヒート』におけるそれと同じだ。そして、そのモットーが破られたことによって歯車が狂いだす展開も非常に似ている。本人もそれがやりたかったんだ、とちゃんと公言していたので、そこも好感が持てた。 『ヒート』と言えば、かの有名な銃撃戦がまず頭に浮かぶが、今作もそれに負けず劣らずの迫力の銃撃戦がいくつかある。オープニングからタイトルバックまでの、『ヒート』、『ダークナイト』(これも『ヒート』を土台に敷いている)よろしくの強盗シーンも完成度が高い。 役者も渋い選出で、まず何と言っても、『ハート・ロッカー』が記憶に新しいジェレミー・レナーの存在を外すことはできないだろう。一目で”ヤバイ奴”感が分かるあの雰囲気。出てくるたびにゾクゾクさせられる。 1月に惜しくも64歳で亡くなった、ピート・ポスルスウェイト演じるマフィアのボスも絶妙。表の顔は花屋で、店先で花の剪定なんかやっているのだが、どっからどう見ても堅気じゃない!(笑)。あの押し殺した怖さは秀逸だ。 また、個人的に推したいのが、FBI捜査官のアダム役を演じたジョン・ハム。防弾チョッキにショットガンという、80年‐90年代アクションの定番スタイルがめちゃくちゃハマっている。そしてその格好は、まさに『ヒート』におけるアル・パチーノとダブってくる!このあたり、さすがベン・アフレック!分かってらっしゃる! しかし、一体彼はなぜ今『ヒート』をやろうと思ったのだろうか。 後半の銀行襲撃シーンで、ベン・アフレックら強盗団の乗ったトラックが街を走り抜ける際に、ふと道の脇に立っている子供の顔がアップになって映し出される。 何だろう?今のは。 その答えは最後のエンドロールのテロップにあった。 「現在、ボストン地区では年間300件以上の強盗事件が発生している―」 「―しかし、もちろん大半のボストン市民は善良で働き者である」 クスッとさせるジョークだが、「あ!」とここで先の子供のアップの謎が解ける。これはベン・アフレックが、自身の故郷ボストンへの愛を詰め込んだ作品だったのだ。 だから、ラストにも納得がいく。正直、そのテロップを見るまではオチの付け方が「かっこつけすぎやろ!やっぱりお前はただのナルシストやったんか!」って思っていたのだけど、これは全く間違いだった。 ネタバレになってしまうが、主人公・ダグは最終的にこの街から出て、新たな人生をスタートさせるという夢を実現させる。 絶体絶命の展開から都合よく夢を実現させてしまうというのが、「これでええんかなぁ」と感じていたのだが、さっきも言った通り、これはベン・アフレックのボストンへの、ボストンの子供たちへの愛が詰まった物語なのである。だから、この街の希望であるダグは死んではいけなかった。ダグが夢を実現させること自体がベン・アフレックがこの作品に込めたメッセージだったのだ。 そして、そのラストは同時に、それまでずっとなぞってきた『ヒート』という作品との決別を果たすことになる。堅気になる夢を果たせなかったデ・ニーロを、あのロサンゼルスという”タウン”から救出するのだ。 確かにご都合主義なラストかもしれない。かっこつけすぎているかもしれない。 しかしそこには、「勇気を持ってその街から出ていくんだ!夢に向かって自分の道を進むんだ!」という監督自身のメッセージが込められているのだ。
「その街のこども」 ★★★★★★★☆☆☆
![]() 2011・日本 83分 監督:井上剛 製作:京田光広 脚本:渡辺あや 音楽:大友良英 主題歌:阿部芙蓉美 撮影:松宮拓、青木智紀 出演:森山未來、佐藤江梨子、津田寛治 製作会社:NHK 配給:トランスフォーマー 【ストーリー】 2010年1月16日。阪神・淡路大震災で被災して以来、東京に住んでいる勇治は、震災から15年が経とうとするその夜、神戸の街で偶然、美夏という女性に出会う。明日の朝、"追悼の会"に参加するために東遊園地へ行くという美夏を案内することになった勇治だったが、その道中で、次第に2人の被災の辛い過去が明らかになっていく・・・。 【ネタバレ注※】 歩く、歩く、ちょっと走る。ほんの少しの優しさが心に染みる良作ドラマ この作品は、2010年にNHKで放送されたテレビドラマを再編集して劇場版にしたものである。しかし、テレビドラマにしては、というレベルでは無く、本当に素晴らしい作品だった。 阪神・淡路大震災から15年が経った神戸で偶然出会った男女の、たった一夜の物語である。並んで歩き、着かず離れず一定の距離を保ったまま、お互いの過去を吐露していく。それぞれが抱える”闇”が、次第に明らかになっていく様がショッキングであり、切ない。 偶然出会った男女が・・・と聞くと、ラブストーリーのような印象を持ってしまうかもしれないけれど、この映画はそこには着地しない。「好き」といった恋愛的な感情の動きは一切ないと言ってもいい。「思いやり」の愛情がじわりと染み出てくる、そんな映画だった。 個人的な震災の体験で言うと、阪神・淡路大震災が起きた当時、僕は6歳で、直接被災はしてないものの、神戸に住む親戚がいるので震災の話を聞く機会はあった。父と祖父も震災直後に神戸へ行っていて、子供ながらにどこか人ごとには感じられなかったのを覚えている。 親戚のおじさんとおばさんは、寝ていたところに両側からタンスと物置が倒れてきたらしい。しかし、奇跡的なタイミングでタンスと物置がぶつかるかたちになったおかげで、ちょうどその下にできた隙間に居た2人は助かった、という話をおじさん本人に聞いた。「奇跡ってほんまにあるんやなぁ」と言っていたおじさんのその話があまりに衝撃的で、今でも忘れられない。 直接の地震体験で言うと、2001年に芸予地震で震度5強の地震の被害にあった。それは、家の近所の本屋にいた時のことだった。ゴゴゴゴという轟音と共に、棚に陳列された本が一斉に頭の上に降り注ぎ、何かを考える間もなく、ただ店の外へ逃げ出す客の後を走っていくことしかできなかった。それから家に帰るまでのことは一切覚えていない。たぶん、頭が真っ白になっていたのだと思う。ベッドで寝ている祖母の足元に吊り下げられていた大きなテレビが、「もし地震がきたら体に落ちてきて危ないのに」といつも心配だったので、そのことを考えていたかもしれない。 次の記憶は、食器やら何やらが床に散乱している台所の様子だ。幸い、家族はみんなケガひとつなく、家は多少の物が壊れる程度の被害でおさまった。後でニュースを見て、震度5強だったというのを聞き、阪神大震災はこれより2つも震度が上なのか、と知って恐ろしくなったのを覚えている。 つい先日も、ニュージーランドのクライスト・チャーチで大きな地震があり、未だに安否の分かっていない日本人が27人もいる。同じ日本人だから、というのは良くないけれど、やはり近年起こった大地震の中でも特に身近に感じられて、本当に胸が痛む思いがする。 話を映画に戻すと、この美夏と勇治という2人は、全く性格も合わないし、見た目もつりあっていないように見える。そんな2人が、こんなにもお互いのことを語り合ってしまうのは、きっとお互いに不安だったからだと思う。一瞬ですべてを奪っていった地震、人生を変えてしまった地震という恐ろしいものに向き合うことが怖くて、15年間逃げ続けてきた。しかし、前に進むために、逃げ続けた時間を取り戻すために、互いにすべてを吐きだしていく。 僕自身、身近にこうした地震が起きていたのに、ちゃんと向き合って考えたことは一度もなかったように思う。 「行かなダメなんです」 と美夏は追悼の会に出席する強い意志を見せる。「行きたくない」と言いつつも。 一方、勇治はまだ向き合う準備ができていない。 この映画は、向き合おうとする者の背中を押してくれ、向き合う準備ができていない者に向き合うキッカケをくれる。 そして、勇治が美夏のためにした”小走り”のような、ほんの少しの思いやりに、その街のこどもだった人たちの希望を見たような気がする。 僕は、勇治の速まる歩調に涙と勇気を、そして多くのキッカケをもらった。
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